Notionにプレゼンモードが来た

Notionにプレゼンモードが来た話をします。

あと、タブブロックも。

正直に言うと、最初のリアクションは「ふーん」でした。Notionでスライド作る人、どれくらいいるんだろう。PowerPointがある。Keynoteもある。わざわざNotionでプレゼンを作る理由が、すぐには浮かばなかった。

ただ、しばらく触ってみて、ちょっと考えが変わったんです。

これはプレゼン機能の話じゃない気がする。

プレゼンモードの話

仕組みから話します。

ページの中に区切り線を入れるんですよ。横線をぴゅっと引く。そうすると、その区切り線で切られた範囲が、1枚のスライドになる。やることはそれだけ。

できることは、思ったよりある。

いま書いているページを、そのままスライドにできる。画像も、テーブルも、埋め込んだコンテンツも、全部そのまま映る。共有もNotionのページ共有と同じ仕組みなので、リンクを送るだけで相手にスライドが見える。

できないことも、はっきりしています。

アニメーションはない。スライドごとの背景設定もない。発表者ノート——登壇者が手元に置くメモみたいなもの——もない。たぶん、今のところ。

KeynoteやPowerPointの代わりにはならない。そもそも狙っていない気がする。

ひとつ気になったのは、縦横比の問題でした。Notionのページって縦に長いんですよ。スクロールして読むものなので。でもスライドは横に広い。この変換で、文字が小さくなる場面がある。情報量の多いページをそのままプレゼンモードにすると、1枚に詰め込みすぎて読めない。

あと、開いたり閉じたりできるブロック——トグルって呼ばれているんですけど——の挙動が、まだ少し不安定でした。開いた状態でスライドに収まるかどうかは、中身の量による。データベースは表示されるけど、クリックしても操作はできない。見せるための画面であって、触るための画面ではない。

タブブロックの話

タブブロックの話もしておきます。

ページの中に横のタブ切り替えを作れる機能です。ブラウザの上に並んでいるタブ、あれに近い。クリックすると中身が切り替わる。

これも見た目は地味です。

ただ、Notionのページはずっと「縦に積む」しかなかったんですよ。情報が増えると、下にどんどん伸びていく。スクロールして、スクロールして、まだ下にある。タブブロックは、初めて「横に並べる」という選択肢を持ち込んだ。

地味に効くのは、タブの高さ調整です。タブの中身の長さが違っても、一番長いタブに合わせてくれる。これで、タブを切り替えたときにページ全体がガクッと動く——あの地味にストレスだった動き——が減る。

文字の縮小問題は、プレゼンモードほど深刻ではないです。タブの中はNotionの通常ページと同じ幅で表示されるので、読みにくくはならない。ただし、タブの中にさらにタブを入れるような入れ子構造は、たぶんやめたほうがいいと思います。

観客が変わった

ここまで機能の話をしてきたんですけど、僕が一番気になっているのは、そこじゃないんですよ。

Notionのページは、ずっと巻物でした。

上から下にスクロールする。情報は縦に並ぶ。読む人は、巻物を少しずつ開くように、ページを下へたどっていく。10年、ずっとそうでした。

プレゼンモードは、この巻物を冊子本に変えた。

区切り線で「ここからここまでが1ページ」と区切る。読者は、下にスクロールするのではなく、次のページをめくる。タブブロックは、本に見出しタブを付けたようなもの。全部を順番に読まなくても、見たいところを開ける。

読む人の動きが変わったんですよ。

巻物は「上から順に読む」しかない。冊子本は「めくる」ことができる。ページを飛ばせるし、気になるところだけ見られる。順番を読者が選べる。

もうひとつ。

巻物の観客は「読む人」だった。テキストを追って、情報を受け取る人。でも冊子本には「見る人」もいる。プレゼンモードのスライドを眺める人は、読んでいるというより、見ている。

Notionのページに、「読む人」とは別の観客が現れた。

これが、僕が「ふーん」から考えが変わった理由でした。プレゼン機能が来たんじゃない。ページの前に座る人の種類が変わった。

ここから先は有料パートです。

無料パートはここで完結しています。プレゼンモードとタブブロックが何で、何ができて、何ができなくて、それがNotionにとって何を意味するのか。ここまでで十分お持ち帰りいただけたはずです。

この先では、3つのことを書いています。

1. 「まだ名前のないもの」 — Notionの進化がどこに向かっているのか、しかたの見立て

2. 「2つの顔を持つページ」 — 内部資料と提案資料が同じページになる世界

3. 「見せる前提で書くと、書き方が変わる」 — 道具が変わると工程が変わり、書き方が変わる

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